キャンドル・キャスター Candle Caster

 

キャンドル・キャスター   「君の心に、唯一なる完璧な炎を描くのだ」

  炎はある種の人々への特別な吸引力がある。簡素に燃えるろうそく、それは暗色の芯に灯る涙滴型の炎とそれを覆う蝋の柱から成り、巧みに合わさって炎の台座にして燃料源を兼ね備える:実に驚くべき芸術品だ。蝋には秘密が込められている:秘密……すなわち呪文が。
  “呪文ろうそく職人”とも呼ばれる彼女らは、力と美の双方を込めた呪文ろうそく作りの専門家だ。炎が蝋を溶かし、燃え上がるにつれて込められた呪文も解放される。そして、蝋は込められた呪文を具現化して現出し、燃える炎はそれを高めていく。
  キャンドル・キャスターは彼女らの呪文ろうそくに込められた呪文の効果を拡張する特技様能力を持つことから、しばしばダンジョン最深部で消耗魔法具の重要性を実感した冒険者集団に誘われる。
  NPCキャンドル・キャスターは時に、ポーションの等価物として彼女らが所持する《任意起動呪文ろうそく》(誰もが使うことができる)を売るために魔法屋に現われる。しかしながら、呪文ろうそくへの着火はポーションを飲むよりも困難であり、持続時間も限定されることから、《任意起動呪文ろうそく》はポーションほどの人気を博する魔法具とはならない。
  ヒット・ダイス:1d4

 

前提条件 Requirements
  キャンドル・キャスターになる資格を得るためには、キャラクターは以下の全基準を満たさなくてはならない。
    製作(ろうそく作り):6ランク
    特技:《頑健無比》
    呪文発動能力:3レベルの呪文を発動する能力
    特殊:キャンドル・キャスターは冒頭で少なくとも100本の火おこし棒を所持していなくてはならない

 

クラス技能 Class Skills
  キャンドル・キャスターのクラス技能(そしてそれぞれの技能のための対応能力値)は錬金術【知】、精神集中【耐】、製作【知】、知識【知】、職能【判】、念視術【知】、捜索【知】と呪文学【知】だ。技能の説明についてはPHB第4章:技能を参照。

  レベル毎の技能ポイント:2+知力修正値。

 

クラスの特徴 Class Features

  武器と防具の習熟:キャンドル・キャスターは武器や鎧の習熟を得ない。

  1日の呪文数:キャンドル・キャスターは新たなレベルを得ると、上級クラス以前に属していた呪文発動クラスでレベルを得たように、キャラクターは新しい1日の呪文数を得る。しかしながら、そのクラスのキャラクターなら得られる他の特典については、増加したレベルによる呪文発動効果以外は得られない(上級クラスは、アンデッドの退散(威伏)の確率、呪文操作や道具作成特技、ヒット・ポイント等を与えてくれる)。もし、キャンドル・キャスターとなる前に、キャラクターが1つ以上の呪文発動クラスについていたなら、彼はどのクラスに1日の呪文数のためのレベルを加えるかを決めなくてはならない。

  呪文ろうそく作成 Scribe Candle:キャンドル・キャスターは呪文をろうそくに込めることができる。1本の呪文ろうそくにはそれぞれ1つの呪文を込められる。実質的に、キャンドル・キャスターは媒体を変更した《巻物作成》特技を得る(プレイヤーズ・ハンドブック85ページ参照)。《巻物作成》に適用されるすべてのルール、経験点消費、物質要素消費は同じくこの能力にも適用される。呪文ろうそくは通常5フィート半径を明るくし、そして1時間燃える。しかし作成された呪文ろうそくは燃えながら下記の効果を表す。キャンドル・キャスターが望まないなら、燃えている呪文ろうそくを消すことはできない(しかしディスペル・マジックは他の魔法具と同様にその効果を鎮圧するだろう)。
  込められた呪文を起動するためには、キャンドル・キャスターは通常に巻物を読むための必要条件を満たさなくてはならない。込められた呪文は彼女が発動可能なクラス呪文でなくてはならず、また発動するための能力値を満たしていなくてはならない(例えば、ウィザードが5レベル呪文を発動するなら【知力】15が必要)。そして彼女は正確に呪文を起動するため、術者レベル判定をしなくてはならない(難易度=《蝋燭作成》した術者レベル+1)。もし彼女が失敗するなら呪文は失われ、そして彼女は事故を避ける為に【判断力】判定(難易度5)をしなくてはならない(DMG199ページ参照)。
  呪文ろうそくの識別 Identify the Candle:準備された呪文ろうそくを起動させるため、キャンドル・キャスターはまずそれを識別しなくてはならない。これは難易度15+呪文レベルの〈呪文学〉判定を必要とする。もしそれが彼女が作成した呪文ろうそくであるなら、この過程は不要である。
  呪文ろうそくの着火 Light the Candle:呪文ろうそくに火をつけるには火おこし棒が有効だ。それは標準アクションであり、そして呪文発動と同様に呪文を失う可能性を持つ。火打石とほくちや虫めがねのような、より時間がかかる方法で呪文ろうそくに着火する場合、うまくいっても全ラウンド・アクションであり、そして機会攻撃を誘発する。
  キャンドル・キャスターは精神集中判定(難易度15)に成功することにより、“防御的着火”を行うことができる。これは機会攻撃を誘発しないが、彼女が判定に失敗したなら着火にも失敗する。また、キャンドル・キャスターが機会攻撃を誘発した結果攻撃が命中したなら、とにもかくにも呪文ろうそくへの着火を優先する目的で精神集中判定(難易度10+ダメージ・ポイント)を試みることができる。
  呪文ろうそくの効果 Candle Effect:着火に成功した呪文ろうそくは、キャンドル・キャスターの次ラウンドから自動的に込められた呪文を発動する(機会攻撃を誘発しない)。それは厳密に、呪文が通常に準備され、そして発動したように働く。しかしながら、彼女が前ラウンドに呪文ろうそくに着火したのなら、キャンドル・キャスターは通常にアクションを行ったとしても、同じラウンドに呪文ろうそくの呪文は効力を発する。
  燃えている呪文ろうそくの攻撃は引き金となる呪文の持続時間と同じだ。そのため、瞬間的な呪文の呪文ろうそくは燃え上がるとすぐに燃え尽きるが、より効果時間の長い呪文の呪文ろうそくは持続時間と同じだけの時間燃える。しかしながら、もし呪文の持続時間が切れる前に炎が消されるなら、呪文の持続時間も短くなる。
  作成された呪文ろうそくは術者の呪文スロットの前提条件に収まる範囲であるなら、以下に記される特殊な強化を複数含ませることが可能である。

  呪文ろうそく燃焼時間延長 Extend Candle:2レベルにおいて、キャンドル・キャスターは呪文ろうそくに込められた呪文の持続時間を延長することができる。実質的に、彼女は呪文ろうそく作成時のみに適用できる《呪文持続時間延長》呪文修正特技を得る(プレイヤーズ・ハンドブック82ページ参照)。同様に《呪文持続時間延長》に適用されるすべてのルールは《呪文ろうそく燃焼時間延長》にも適用され、そして呪文を込めるには実際の呪文レベルより1レベルより高い呪文スロットを用いる。

  任意起動呪文ろうそく Unfettered Candle:3レベルにおいて、キャンドル・キャスターは呪文を彼女以外の者でも起動できるように呪文を呪文ろうそくに込める方法を学ぶ。実質的に、キャンドル・キャスターは媒体を変更した《ポーション作成》特技を得る(プレイヤーズ・ハンドブック85ページ参照)。《ポーション作成》に適用されるすべてのルール、経験点消費、物質要素消費は同じくこの能力にも適用される。ポーションのように、3レベル以下の呪文だけが《任意起動呪文ろうそく》に込めることができる。《任意起動呪文ろうそく》の着火に成功したクリーチャーは、上記に従い次ラウンドのクリーチャーのターン開始時に呪文ろうそくに込められた呪文の目標を定められる。《任意起動呪文ろうそく》は厳密に通常に作成された呪文ろうそくのように働く。

  呪文ろうそく距離延長 Enlarge Candle:4レベルにおいて、キャンドル・キャスターは彼女が呪文ろうそくに込める呪文の距離を2倍にすることができる。実質的に、彼女は呪文ろうそく作成時のみに適用できる《呪文距離延長》呪文修正特技を得る(プレイヤーズ・ハンドブックの82ページ参照)。同様に《呪文距離延長》に適用されるすべてのルールは《呪文ろうそく距離延長》にも適用され、そして呪文を込めるには実際の呪文レベルより1レベルより高い呪文スロットを用いる。

  上下二色呪文ろうそく Dipped Candle:5レベルにおいて、キャンドル・キャスターは彼女の呪文ろうそく製作能力を洗練し、同じ呪文ろうそくに2つの呪文を込める技を学ぶ。彼女は個々の呪文をそれぞれ込めなくてはならず、ともに経験値と金貨を満額支払い、呪文の効果対象について指定しなくてはならない。作成した呪文ろうそくへの着火が成功したなら、まず第1の呪文が起動する;第1の呪文の持続時間が終了したなら、自動的に第2の呪文が起動する。もし第1の呪文がディスペル・マジックによって解呪されたり、キャンドル・キャスターが自発的に効果を終了させるなら、第2の効果は起動しないが失われることはない。呪文ろうそくを再点火することにより、キャンドル・キャスターは第2の効果を起動することができる。もし第2の呪文が目標を必要とするなら、キャンドル・キャスターは通常に呪文を発動するように起動時に目標を定められるが、それは着火した呪文ろうそくの30フィート以内となる。さもなければ、呪文ろうそくは基本的に効果範囲の中心として扱われる。それぞれの呪文は異なる色をしているかもしれない;例えば上半分が黄色で下半分が青のように。

  呪文ろうそく威力強化 Empower Candle:6レベルにおいて、キャンドル・キャスターは呪文ろうそくに込めた呪文の効果に関わる変数を増大させる。実質的に、彼女は呪文ろうそく作成時のみに適用できる《呪文威力強化》呪文修正特技を得る(プレイヤーズ・ハンドブックの81ページ参照)。同様に《呪文威力強化》に適用されるすべてのルールは《呪文ろうそく威力強化》にも適用され、そして呪文を込めるには実際の呪文レベルより2レベルより高い呪文スロットを用いる。

  高速着火 Quick Light:7レベルにおいて、キャンドル・キャスターはより速く彼女の呪文ろうそくを起動することを学ぶ。呪文ろうそくへの着火行為自体は短縮することはできないが、呪文ろうそくに込められた呪文は着火直後に起動できる(キャンドル・キャスターの次ターンではなく)。

  呪文ろうそくレベル上昇 Heighten Candle:8レベルに到達すると、キャンドル・キャスターは呪文ろうそくに込める呪文の効果レベルを高めることができる。実質的に、彼女は呪文ろうそく作成時のみに適用できる《呪文レベル上昇》呪文修正特技を得る(プレイヤーズ・ハンドブックの82ページ参照)。同様に《呪文レベル上昇》に適用されるすべてのルールは《呪文ろうそくレベル上昇》にも適用され、そして呪文を込めるには本来の呪文スロットではなく新たな呪文スロットを用いる。

  左右二色呪文ろうそく Striped Candle:9レベルにおいて、キャンドル・キャスターは同じ呪文ろうそくに2つの呪文を込める技をさらに洗練する。彼女は個々の呪文をそれぞれ込めなくてはならず、ともに経験値と金貨を満額支払わなくてはならない。作成した呪文ろうそくへの着火が成功したなら、双方の呪文は同時に起動し、キャンドル・キャスターはそれぞれの目標を選択することができる。それぞれの呪文は異なる色をしているかもしれない;例えば左半分が緑色で右半分が赤のように。

  呪文ろうそく威力最大化 Maximize Candle:10レベルにおいて、キャンドル・キャスターの技は頂点に達し、彼女は呪文ろうそくに込めた呪文の効果に関わる変数を最大化させる。実質的に、彼女は呪文ろうそく作成時のみに適用できる《呪文威力最大化》呪文修正特技を得る(プレイヤーズ・ハンドブックの82ページ参照)。同様に《呪文威力最大化》に適用されるすべてのルールは《呪文ろうそく威力最大化》にも適用され、そして呪文を込めるには実際の呪文レベルより3レベルより高い呪文スロットを用いる。

 

表3-7:キャンドル・キャスター
クラスレベル基本攻撃ボーナス頑健反応意志特殊1日の呪文数
+0+2呪文ろうそく作成既存クラスに+1レベル
+1+3呪文ろうそく燃焼時間延長既存クラスに+1レベル
+1+1+1+3任意起動呪文ろうそく既存クラスに+1レベル
+2+1+1+4呪文ろうそく距離延長既存クラスに+1レベル
+2+1+1+4上下二色呪文ろうそく既存クラスに+1レベル
+3+2+2+5呪文ろうそく威力強化既存クラスに+1レベル
+3+2+2+5高速着火既存クラスに+1レベル
+4+2+2+6呪文ろうそくレベル上昇既存クラスに+1レベル
+4+3+3+6左右二色呪文ろうそく既存クラスに+1レベル
10+5+3+3+7呪文ろうそく威力最大化既存クラスに+1レベル