ファング・オヴ・ロルス Fang of Lolth

 

ファング・オヴ・ロルス   多くのバードとローグは、彼女らが前提条件なしでも働くように魔法具を“だます”方法を研究している。時に、残念なことに、好奇心が強い人たちは彼女たちが予想したよりもより多くの何かを得ることがある。
  ロルス神の崇拝者は時折スパイダーに攻撃ボーナスを与える〈牙の護符〉と呼ばれる魔法具を作る。バードやローグが彼女の用に供すために〈魔法装置使用〉判定に成功してそれをだますまで、このような道具は普通のものに見える。彼女は〈牙の護符〉の利益を得るが、それは彼女の首に融合してしまい、結局のところ彼女をハーフスパイダーに変態させる。
  若干の者は、外観がやや蜘蛛様に変態するだけで、彼女たちの今まで歩んできた冒険を続け、この変態と戦い続ける。他の者たちは変態を受け入れ、そしてスパイダーのデーモン・クィーンの影に自らの肉体を差し出し、ファング・オヴ・ロルス上級クラスのレベルを得る。彼女たちの忠誠に関わらずこの新しい人生を歩むうちに、結局は〈牙の護符〉と融合した人たちは死が道具を彼女たちの肉体から分離する唯一の方法であることを学ぶ。
  ロルス神のクレリックと他の執行者たちだけが〈牙の護符〉のこの面について知っており、そのため彼女たちはロルス神への奉公のひとつとして融合した者たちを導く任に就く。多くのNPCファング・オヴ・ロルスはスパイダー・クィーンのクレリックの下で働くが、スパイダーの能力を欲するもののロルス神に屈服するつもりはない反逆者がごく少数は存在する。スパイダー・クィーンの執行者はロルス神への奉公の一環として彼らを連れ戻すか、あるいは〈牙の護符〉を取り戻すために彼女たちを執拗に追い詰め、抹殺しようとする。
  ファング・オヴ・ロルスは〈牙の護符〉の秘密を知ることで彼女たちの経歴を始めることから、彼女たちは魔法具をだまして彼女たちをスパイダーとして取り扱うように仕向けなければならない。その制限のため、この上級クラスは〈魔法装置使用〉技能のランクを向上できるキャラクターにだけ開かれている。最強のウィザードやソーサラーでさえ〈牙の護符〉を起動することは不可能だ;それは直観的な当て推量(と運)で魔法具をだませる人々だけが起動できる。
  ヒット・ダイス:1d6

 

前提条件 Requirements
  ファング・オヴ・ロルスになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。
    属性:秩序以外にして善以外
    基本攻撃ボーナス:+5
    技能:魔法装置使用10ランク
    特殊:キャラクターは〈牙の護符〉を獲得し、それに対して〈魔法装置使用〉判定(難易度25)の起動に成功しなくてはならない。これは彼女に利益を与えると共に、首に永久的に融合する(サイドバー参照)。

 

クラス技能 Class Skills
  ファング・オヴ・ロルスのクラス技能(と各技能の対応能力)は平衡感覚【敏】、登攀【筋】、製作【知】、解読【知】、装置無力化【知】、情報収集【魅】、隠れ【敏】、威圧【魅】、跳躍【筋】、聞き耳【判】、忍び足【敏】、職能【判】、捜索【知】、真意看破【判】、視認【判】、水泳【筋】、軽業【敏】、魔法装置使用【魅】、縄使い【敏】。技能についての説明はPHB第4章:技能を参照。

  レベルごとの技能ポイント:6+【知力】修正値

 

クラスの特徴 Class Features
  以下のすべてがファング・オヴ・ロルスの上級クラスの特徴である。

  武器と防具の習熟:ファング・オヴ・ロルスは新たな武器と防具の〈習熟〉を得ない。

  技能ボーナス Skill Bonuses:変則的能力として、ファング・オヴ・ロルスは〈登攀〉と〈跳躍〉判定に+2技量ボーナスを得る。加えて、ロルス神の囁きは魔術の働きについて彼女の潜在意識下に助言を与えることから、彼女は〈魔法装置使用〉判定に+4洞察ボーナスを与える。このボーナスは超常能力である。

  急所攻撃 Sneak Attack:もし彼女がそれを取得していないなら、ファング・オヴ・ロルスは2レベルにおいて《急所攻撃》能力を得る(プレイヤーズ・ハンドブックの第3章、ローグを参照)。彼女はまずこの攻撃に+1d6ダメージを得、5レベルにおいて+2d6、8レベルにおいて+3d6まで上昇する。もし彼女が以前のクラスですでに《急所攻撃》能力を取得しているなら、ダメージボーナスは累積する。

  蜘蛛の噛みつき Spider Bite:ファング・オヴ・ロルスは彼女の無関節化した顎と鋭利な歯を用いて攻撃アクションを採ることができる。彼女の噛みつきは肉体武器による攻撃として扱い、中型サイズなら1d6ポイントのダメージを、小型サイズなら1d4ポイントのダメージを与える。この攻撃はファング・オヴ・ロルスの敵に対し機会攻撃を誘発しない。もし彼女が全力攻撃アクションを行うなら、彼女は通常に武器攻撃をし、かつ第2の攻撃として噛みつき攻撃を−5ペナルティーを被り行うことができる。

  登攀速度20フィート Climb Speed 20 Feet (変則):4レベルにおいて、ファング・オヴ・ロルスは壁や天井を20フィートの速度で、彼女が徐々に変貌しつつあるモンストラス・スパイダーのように登ることができる。この能力は彼女の〈登攀〉判定に+8種族ボーナスを与える。

  外皮 Natural Armor:6レベルにおいて、キャラクターの皮膚は彼女に+2外皮ボーナスを与えるまでに強くなる。10レベルにおいて、彼女の皮膚は+4外皮ボーナスに上がり、キチン質の背甲並に堅くなる。

  蜘蛛の視覚 Spider Vision (変則):6レベルにおいて、ファング・オヴ・ロルスは視力の増大により、〈視認〉と〈捜索〉判定に共に+4技量ボーナスを得る。彼女は60フィートまで見通せるダークヴィジョンをも得る。もし彼女がクラスの特徴や種族能力としてすでにダークヴィジョンを持っているなら、その距離は累積しない。

  サモン・スウォーム Summon Swarm (擬呪):7レベルにおいて、1日3回ファング・オヴ・ロルスはスパイダーの一群を招来を命じ、指揮することができる。 招来される群れが常にスパイダーで構成されていること以外、この能力はファング・オヴ・ロルスのレベルに等しいレベルのドルイドが発動したサモン・スウォーム呪文のように働く。 ファング・オヴ・ロルスは移動相当アクションとして、群れを30フィートの速度で移動させることが出来る。

  蜘蛛の肢節 Spider Limbs (変則):9レベルにおいて、ファング・オヴ・ロルスは現実にもう2対の肢が生えてくる。それは必要とされる時に彼女の背中あるいは胴体の側面から現れる完全格納式である。《蜘蛛の肢節》を展張するか、あるいは収納することは機会攻撃を誘発しない移動相当アクションだ。ファング・オヴ・ロルスの《蜘蛛の肢節》は、呪文発動や〈解錠〉〈すり〉のような【敏捷力】に基づく技能を使えるほどに精密作業には不向きだが、通常武器と他の道具を把持することができる単純な鉤爪が先端に付いている。追加肢節を得ても、ファング・オヴ・ロルスはいまだラウンド毎に1つの標準アクションしか行うことは出来ない。しかしながら、全力攻撃アクションを採るなら、個々の《蜘蛛の肢節》は第2の生体武器として−5ペナルティーを被ることで攻撃することが出来る。彼女の鉤爪は彼女が中型サイズであるなら1d4ポイントのダメージを与え、小型サイズであるなら1d3ポイントのダメージを与える。もし彼女がより効果的に彼女の鉤爪を使うか、あるいは多数の肢に武器を所持させることを望むなら、ファング・オヴ・ロルスは《複数回攻撃》、《多腕利き》と《多刀流》特技を獲得することができる。
  10レベルにおいて、ファング・オヴ・ロルスの《蜘蛛の肢節》は前進を補助するほどに十分長く、頑丈になる。もし彼女が移動に彼女の《蜘蛛の肢節》の2本を転用するなら、彼女の地上速度と登攀速度は20フィート増加する。

  蟲化 Vermin Type (変則):10レベルにおいて、彼女は以前の【知力】能力値、ヒット・ダイス、能力を維持するが、ファング・オヴ・ロルスのクリーチャー種別は蟲“ヴァーミン”に変わる。“蟲”として、彼女は[精神作用]効果(魅惑、強制、惑乱、紋様と士気効果)に免疫がある。

  変態 Physical Changes:彼女がファング・オヴ・ロルスのレベルを更新することにより、キャラクターの身体は変態していく。無関節化した顎と追加された《蜘蛛の肢節》(その両方とも、上記のように特殊な攻撃を可能とする)を例外として、これらすべての変更はただ表面上のものであるが、それらは永久的なものである。これらの蜘蛛様の特徴はファング・オヴ・ロルスの【魅力】能力値や対人関係技能に影響しないが、しかしDMはこのような恐ろしい変態が対面したクリーチャーに及ぼすとして、様々な判定に状況ペナルティーを課すかもしれない。ハット・オヴ・ディスガイズ(変装帽子)を被ったり、あるいは彼女の容姿を変更する何か他の魔法を使用することにより、利口なファング・オヴ・ロルスはこの問題を切り抜けるかもしれない。

 

表1-3:ファング・オヴ・ロルス
クラスレベル基本攻撃ボーナス頑健反応意志特殊変態
+0+0+2+0技能ボーナス皮膚がどす黒くなる
+1+0+3+0急所攻撃+1d6手足が長くなる
+2+1+3+1蜘蛛の噛みつき顎が無関節化し、かみつき攻撃が可能になる
+3+1+4+1登攀速度20フィート目が大きくなり複眼になる
+3+1+4+1急所攻撃+2d6指と爪先が長くなる
+4+2+5+2外皮+2、蜘蛛の視覚体毛が荒くごわごわした房となり、目が蜘蛛の視覚を得る
+5+2+5+2サモン・スウォーム 背後を認識できる
+6+2+6+2急所攻撃+3d6それぞれの手足の最も小さな指と爪先が退化する
+6+3+6+3蜘蛛の肢節蜘蛛様の追加肢節が生える
10+7+3+7+3外皮+4、蟲化昆虫のようなキチン質の外殻に覆われる

 

〈牙の護符〉Fang Scarab

  この蜘蛛の巣を模ったメダルは、細かな細工の施された銀鎖の輪から牙の形をしたクリスタルがぶら下がった形をしている。〈牙の護符〉の鎖をモンストラス・スパイダーの頭胸部と腹部の節に巻くことにより、クリーチャーは潜在意識下でロルス神の暗い囁きを聞くことができる。これは次の瞬間に何が起こるかについて本能的な知識を与えることから、攻撃ロールに+1洞察ボーナスを与える。

  〈牙の護符〉はスパイダーのために設計されているため、それはたいていの冒険者は無意味だ。スパイダーでないものは〈魔法装置使用〉判定(難易度25)に成功すると、〈牙の護符〉を起動させることができるが、これはその時点で使用者の喉近くの首に永久に融合する。着用者が死なない限り、誰にもそれを除去することはできない。

  〈牙の護符〉はスパイダーに与えるのと同様に、着用者に同様の攻撃ボーナスを与えるが、それは長い時間をかけて着用者をハーフスパイダーを髣髴とさせる容貌へ変態させる作用がある。〈護符〉を最初に着用した際、着用者の犬歯は大きくなり、そしてごわごわした黒い毛が彼女の首の後ろに生えてくる。それ以上の変化は、彼女がファング・オヴ・ロルス上級クラスのレベルを増加させることにより発現していく(上記の変態を参照)。

  術者レベル: 5;前提条件: 《その他の魔法のアイテム作成》、ディヴィネーション市価: 3,500gp;重量: