名前 | レベル | 耐久力 | よろい | 防御 | 楯 | こて/すね当て | 近接攻撃 | 射出攻撃 | 移動 | 注意 |
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アドゥーナフェル | 32 | 160 | 板/19 | 75 | 無 | 無/無 | 160剣 | 125合 | 15 | 黒きヌーメノール人 吟遊詩人、第七位 |
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アドゥーナフェルは第二紀1823年に、ヌーメノールの北岬フォロスタールにあるアドゥーナジル伯父の領地(バル・フォロウィング)で生まれた。彼女の家系は貴族の血統に属し、フォロスタールとオルロスタールの大部分を所有していた。幼い頃から、彼女は非常に美しい事で知られていた。しかし彼女がまだ幼い頃に遭遇した、老齢の父(アドゥーナヒル)の死が彼女の心に傷を残し、彼女は数年間に渡り悲嘆に暮れて過ごした。彼女は父を倦ましたエルダールとの絆の元凶であり、諍いの絶えなかった気紛れな母アルカリエルの追放にかかった。アドゥーナフェルが父の死という絶望と、非難すべき母という難問に対することが出来たのは、タル・キアヤタン(第二紀1869〜2029年)宮廷で伯父の主宰する小さな“アドゥーナイク派”の熱心な援護の賜物だった。
アドゥーナジルや同盟者ティンドムール大公(エア=ムーラゾール、後の魔王)らと同様に、アドゥーナフェルは西方やエルフによる束縛を断ち切り、エダインの文化的方針に沿った、望むままの軍事的、経済的発展に励んだ。彼女の究極の目的は、当然ながら、全人類に君臨するヌーメノールの栄光だった。この目標は第二紀1914年、ヌーメノールを出立した際に芽生えた。
アドゥーナフェルは彼女自身の王冠を求めていたが、しかし故国においてはそのような機会が決して巡ってくることはありえなかった。彼女は高貴なる同盟者達と同様に中つ国に赴いた。彼女はウンバール港に家臣と共に上陸した後、小規模なヌーメノール人泊地を経て、大半島の北西端に位置するヴァマグ(ハラド語.血の滴り)に居を構えた。その地で、彼女は領地拡大の中心となる城砦を築きあげた。
第二紀1939年、アドゥーナフェルはウンバールとハルネン河に挟まれたエンドールの沿岸諸国の多くを支配下に置き、ウンバールにいる管財人は南方領地を貿易拠点として富ましめた。ヴァマグの領主はハラド人民に多大な影響を与え、彼女の貪欲な情熱は無辜のハラド人漁師や遊牧民を魅了した。彼らにとって、アドゥーナフェルはまさしく王だった。彼女は〈虚栄のアルド〉として西の近ハラドの多くを支配し、最終的にはウンバールと遠ハラドをも征服する準備を進めた。すべては〈西方の女王〉にとって順調なように見えた。
ヌーメノールのタル・キアヤタンは高慢な王であり、ためにかれは第二紀1987年にアドゥーナフェルに対し従属と朝貢の義務を課した。彼は彼女にウンバールを解放し、ヌーメノールの法に従うことを命じた。この布告はアドゥーナフェルを激怒させ、彼女はアルメネロスの厳しい勅令に従おうとはしなかった。その代わり、彼女は妥協点を模索するために使節をアルメネロスに向かわせた。14年間に渡り、アドゥーナフェルと大君主はヌーメノールの支配権を確認するため、外交的論陣と無言の陰謀を駆使して争った。
モルドールのサウロンはこの紛争が2つの目的を達成する好期だと見た。第一はハラドの敵の敗北、第二は強大な潜在敵の拡大を遅延させる手段となり得るからだった。サウロンの下僕は近ハラドを制圧するため、アドゥーナフェルに各所で小競合いを挑み、冥王は地域の主導権を得ようとした。指輪王が重要視したのは、戦略的に重要なウンバールの入江周辺における、タル・キアヤタンの勢力拡大を遅延させることだった。ヌーメノールのみが第二子の支配圏においてモルドールに匹敵し、第二紀1700年のエリアドールにおけるサウロン敗北の後、〈悪しき者〉は粉砕された勢力を回復させるまでに多くの時間を要したからだった。冥王はタル・キアヤタンの内に、彼が長らく恐れていた、中つ国に覇を唱えようとするアダン君主の誇りと渇望を見たのだった。
サウロンの執行人は、アドゥーナフェルの2人の隊長を含め、〈西方の女王〉について熟知するように努めた。彼は彼女の自惚れとエルダールへの憎悪を知り、そして彼女が不滅への渇望に身を焦がしていることを知った。そこで彼は、第二紀2001年に永遠の生命の印として、〈力の指輪〉を贈物に彼女に近づいたのだった。自らの王に憎悪されていた彼女は冥王の誘いに乗り、アドゥーナフェルは指輪を受け入れ、そして恐るべき影の支配下に入った。彼女はナズグールとなり、人間達を支配する第七の王(支配の女王)となったのだった。
アドゥーナフェルは〈指輪の幽鬼〉となった後、約300年間に渡りヴァマグに留まった。彼女がハラド人の間で〈虚栄のアルド〉として知られたのは、この比較的短い期間のことだ。黒きヌーメノール人の臣民は、彼女を〈沈黙のアドゥーナフェル〉と呼びならわした。彼女がかつて昂然と示していた美しさや力は、堕落したヌーメノール貴族の黒い装甲服に隠され、その顔を拝謁する者は無く、日の光の下に現れることも無くなっていった。彼女は近ハラドのほぼ全域を支配下に治めたが、友にしろ敵にしろ慎重に選ばれた下僕を通じてのみ接触し、隠遁と沈鬱の中に引き篭もった。ヴァマグの朝に、彼女の爪弾くリュートの奏でる麗しい調べが聞こえて来る事は無くなった。
第二紀2280年初頭に、アドゥーナフェルはアルドとして、配下の者にウンバール(その時点ではタル・アタナミア王領有の港)の襲撃を命じた。彼女の周囲にはヌーメノールの戦士は数えるほどしかいなかったが、幽鬼軍は誇り高き防衛軍に数で勝っていた。戦意は十分だった。しかし、アドゥーナフェル軍はキリス・グリンガラスの地において罠に落ちた。よく訓練されたドゥーネダインは、槍の一斉投擲と集団突撃で軽装のハラド人を総崩れにした。アドゥーナフェル自慢の騎馬隊はほとんど役に立たなかった。
ダゴール=イ=グリンガラス(輝く岸辺の戦い)は、アドゥーナフェルのハラド支配という野望を打ち砕いたのだった。戦いの2週間後、彼女はヴァマグを捨て、そして大半島を敵の手に任せ、北へ向かった。タル・アタナミア王(第二紀2029〜2221年)は、ウンバールを強化、拡張し、その地域最大の城砦にするよう命じたのだった。
続く981年間、アドゥーナフェルはサウロンの命により、近ハラド中央の乾燥地帯を支配した。彼女はモルドールからおよそ400マイルに位置するハルネン河の南に首都ルガルルーアを建設した。アルドの王国は、アル=ファラゾーンの侵略(第二紀3261年)と、ヌーメノールの権勢に冥王が跪くまで(第二紀3262年)続いた。彼女は師の敗北後、黒の国に撤退した。
ヌーメノールの没落後、指輪王は第二紀3319年に帰還した。アドゥーナフェルはハロンドールと近ハラドのサウロン兵を指揮し、3429年に南イシリエンに大群を以って侵攻した。彼女の宿命は、しかしながら、悪しき主に結びつけられていたため、第二紀終了時のバラド=ドゥーア倒壊とサウロン敗北の後、影の下に入ったのだった。
アドゥーナフェルは第三紀1050年にエンドールに帰還し、ゴンドールのヒアルメンダキル一世のハラド遠征軍が破壊した直後のルガルルーアに入った。南方領土からゴンドールの勢力が撤退した後、ウーライアは590年間に渡りこの地を占領した。彼女の拠点はハルネン谷の見下ろしに設けられ、アドゥーナフェルは徐々に近ハラドに対し力を差し伸ばし、ハラド人反抗分子を誤り導いていった。彼女の企みは第三紀1448年に起きた海賊のウンバール強奪により中断されたが、1634年には彼らも知らぬうちに彼女の目的を支援していた。その年、海賊の襲撃団がゴンドール王(ミナルディル)を殺害したのだった。
1635〜37年にエンドール北西を襲った大悪疫はゴンドールを衰微させ、モルドールの警戒は放棄された。サウロンは、ロヴァニオンのドル・グルドゥアに居を定めていたが、内密に帰国の準備をさせるべく、故国にアドゥーナフェルと他のナズグール(アングマールの魔王を除く)を送り込んだ。アドゥーナフェルはウーヴァサとアホーラヒルと共に、黒の国南方のヌルンに向かった。
魔王のモルドール到着(第三紀1975年)を待って、ウーライリはゴンドールが黒の国を見張るべく設けた最後の監視哨に攻撃をかけるため集結した。キリス・ウンゴルを突破して敢行された第三紀2000年の奇襲は、イシリアンの首都である要塞都市ミナス・イシルを2年の攻囲の後に陥落させ、貴重な七つの〈見る石〉の一つを強奪することで終った。ミナス・モルグルと改名された大理石に装われた都市は、〈指輪の幽鬼〉の新たな棲居となったのだった。
第三紀2941年に、サウロンは恐怖の巣窟であるロヴァニオンのドル・グルドゥアを離れ、暗黒の塔への帰還を果たした。10年の後、しかしながら、彼は〈呪魔の塔〉をいま一度必要であると感じた。ミナス・モルグルにナズグールの6人を残し、彼は東夷のハムールとアドゥーナフェルに北上して闇の森の要塞を再開するよう命じた。使者ウーヴァサが二人のウーライリとモルドール王の連絡役となった。アドゥーナフェルにとって第三紀2951年のドル・グルドゥアへの帰還は、最後の転居となった。なぜなら、彼女は破滅の時まで〈妖術師の丘〉に居を構えたからだった。
第三紀3018年、堕落せし女王は黒の乗手と共にホビット庄と〈一つの指輪〉探索のため、アンドゥイン渓谷、ローハン、そしてエリアドールに乗り入れた。彼女の旅はイセンガルドを抜け、サルバッドの石の渡しを通り、そしてホビットの土地に至った。ハムールとディアのホアルムーラス、そして彼女は緑山丘陵を駆け、東夷は僅かなところで、末つ森に至る道上のフロドと仲間を見つけ損ねた。彼女はハムールとホアルムーラスを伴い、ボルジャーのいる堀窪の離れに侵入したが、結果はバックの里の衆の角笛をまえに逃げ去るだけだった。ブリー村東方の街道上でウーヴァサを加え、さらに風見連山を越えた無人の土地で(風見ヶ丘で一行を襲撃した仲間と)集結した。乗手の追跡はブルイネンの渡しで終わった。エルフの魔術とグロールフィンデルの勇猛が傷ついた指輪所持者の逃走を助けたのだった。河岸の小競合いは、突然の洪水がナズグールの乗馬を奪い去った時点で終了した。彼女の仲間と同様に、アドゥーナフェルの乗馬はエルロンドが召喚した飛沫に沈んだのだった。
翌月には、沈黙の幽鬼はドル・グルドゥアの拠点を再開し、ローリエンと北部〈闇の森〉のエルフ王国を攻撃する準備に入った。アドゥーナフェルはオーク軍の一部を率い、アンドゥインを越えてガラドリエルの王国を襲撃したが、その襲撃は徒労に終わった。彼女は潰走する大群を高地の南方に逃したが、そこでエントによって殲滅された。ナズグールは北方に向うとハムールの軍団と合流し、スランドゥイルの森林領土に対し猛攻撃を加えた。今一度、暗黒の勢力は利を失い、アドゥーナフェルはやむなく撤退した。ペレンノール野の事件がモルドールの召集を促し、彼女は北イシリアン軍に合流した。
魔王がミナス・ティリス城門前で滅びたため、モランノンの戦いにナズグールは八人だけで自由な民の軍勢に挑まざるを得なかった。アドゥーナフェルの帰還後十日目に、指輪の幽鬼はモルドールの門前で恐るべき獣に騎乗し、大鷲を敵に回しての乱戦を演じた。その乱戦は、上古の日々の偉大なる飛空兵の如く映ったが、その戦闘は短時間で終了した。フロドとサム、ゴクリが滅びの山の頂に立ち、支配の指輪を破壊しようとしたからだった。冥王はナズグールを戦闘から引き離すと、〈一つの指輪〉を消滅させまいと南方に急遽送りこんだ。しかしウーライリは失敗し、そしてアドゥーナフェルはエアの圏外に放逐されたのだった。
アドゥーナフェルは身長6フィートで屈強な体格をしているが、それでもなお優美さを感じる。彼女の素晴らしく、どちらかといえば魅惑的な容姿は、幼い頃から始まった、縁者ですら避ける残忍さを秘めた内なる炎をうまく隠していた。彼女は非常に物欲的な生活を楽しみ、そして金の象眼を施された黒い鱗鎧を最も快適に感じていた。〈力の指輪〉を得て幽鬼となった後は、〈獅子の前立て〉と呼ばれるかぶとを捨て去り、恐るべき亀の頭部を模したまびさし付かぶとを好むようになった。
形態 | 〈呼称〉 | シンダリン名 | 説明 |
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剣 | 〈火の縁 Fire's Edge〉 | +30エルフ退治の剣で、黄金を象嵌した黒イシルナウアで鍛えられている。その赤い柄頭には、大きな魔法のルビー球(500gp相当)が嵌め込まれている。ルビーが剣に嵌め込まれている限り、武器は通常の痛打を与えた場合に同程度の熱痛打を加えて与え、所持者はいかなる火炎攻撃に対しても+30抵抗ロールボーナスを受け取る。 | |
合成弓 | 〈夜を射抜く者 Night-piercer〉 | +25のヌーメノールで作られた鋼鉄製合成弓。これを夜間に発射し目標に命中した場合、目標は所持者のレベルに対して抵抗しなくてはならない。失敗すると失敗値に等しいラウンド間、明るい黄色系の光を発する事になる。発光している目標に対する攻撃は(誰からのものであっても)闇によるペナルティーを被らず、さらに〈夜を射抜く者〉での攻撃には+25ボーナスを受け取る。 | |
リュート | 〈記憶の弦 Memory's Strings〉 | このリュートは使用者のレベルに等しい日数の間、弦の上に音響を留めておく事が出来る。リュートが使用者のレベル×5フィート以内にある時、使用者が望むなら(1ラウンド念じると)、リュートは自ら音楽を奏でだす。この楽器は+6呪文付加器(伝送/唯心界)だ。 | |
短刀 | 〈モルグルの短刀 Morgul Knife〉 〈呪魔の短刀 Sorcery Knife〉 | +15小剣だが短剣として機能する。その長く、ほっそりとした魔法で鍛えた刃は冷たく煌めき、微光を発する。それは陽光にさらされると溶け崩れ、短刀が痛打を与えた場合は常に破壊される。刃が犠牲者に突き刺さった場合、犠牲者は所持者のレベルに対し抵抗ロールをしなくてはならない。失敗した場合、50−抵抗ロール失敗値日後に、刃片は犠牲者の心臓に到達する(例えば、失敗値が10なら40日となる)。もし破片が犠牲者の心臓に到達したなら、犠牲者は短刀所持者の〈幽鬼の従者(すなわちアンデッドの奴隷)〉と化し、全行動に−50を被る。失敗は衰弱毒に近い効果をもたらすため、犠牲者は(幽鬼と化すまで)抵抗失敗値の2倍に等しいペナルティーを被る。 |
呪文 | 96魔力を持つ。基本呪文攻撃32OB;呪文照準30OB。アドゥーナフェルは〈吟遊詩人用リスト:音使い〉を30レベルまで、〈同:操り歌〉を25レベルまで、他の吟遊詩人用リストを20レベルまで、さらに3つの伝送界公開リストを5レベルまで(MERP)、または3つの念力界秘伝リストを10レベルまでと3つの念力界公開リストを5レベルまで修得している(RM)。 |
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聴覚 | いかなる方向であっても、アドゥーナフェルは100フィート以内で発生した音の音源を正確に付きとめることが出来る。 |