名前 | レベル | 耐久力 | よろい | 防御 | 楯 | こて/すね当て | 近接攻撃 | 射出攻撃 | 移動 | 注意 |
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魔王 | 60 | 360 | 板/20 | 120 | 無 | 無/無 | 180剣 | 90合 | 30 | 黒きヌーメノール人 魔術師/妖術師、ナズグールの王 |
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ヌーメノール人エア=ムーラゾール(アドゥーナイク語.黒太子)は、偉大なる西方の諸侯の中で、最も才能と力に満ち溢れていた。一介の公子でしかなかったが、彼の力は幾人かのヌーメノール諸王を除いて際立っており、結局のところ、彼はエダインの息子達の誰よりも長く生きた。ムーラゾールの物語は六と半千年紀におよぶ人間の時代のうちでも大いなる悲劇の一つに数えられている。
黒太子は第二紀1820年に、ヌーメノール島(アンドール)のアンドゥスタールは港湾都市アンドゥーニエに生れた。彼は高祖エルロス・タル=ミンヤトゥアの血統に連なる者として、タル=キアヤタン王(Q.造船者)の次男、つまり偉大なる(タル=)アタナミアの弟として誕生した。彼の母親は、彼をティンドムール(Q.薄明の子)と名づけた。なぜなら、彼は日食の間に生まれ、そして彼の頭髪は彼女が今までに見た何よりも黒かったからである。タル=キアヤタンの宮廷貴族達はへりくだり、あえて(エルダールとヴァラールの禁制に対する不快の表明として)アドゥーナイク語を用い、彼をムーラゾールと呼びならわした。
兄と同様に、高慢で貪欲な王位継承者である黒太子は、父の野心を補佐し、中つ国よりの朝貢を増やすべく努めた。タル=キアヤタンは莫大な富を求め、朝貢を強いるために大艦隊をエンドールに送り出し、彼の息子達はどちらもその無慈悲な態度を当然のように受け入れた。彼ら両人は父親の願望を具現化するために奔走し、父祖より伝わるヌーメノールの玉座にまつわる栄光を自在に扱った。
アタナミアだけは、アダン王位継承者に与えられる権力と待遇に満足し、そしてタル=キアヤタンはムーラゾールには決して与えることのない愛を惜しみなく与えた。家族に対する嫉妬の心が黒太子に芽吹き、それはやがて憎悪と貪欲な欲望に転じていった。常日頃から燃え盛る炎のように気性の激しいムーラゾールは、出奔を決意し、備えなき中つ国に自身の帝国を見出すべく出発した。彼は小艦隊を仕立て、第二紀1880年の春にエンドールに向けて出航した。
60の歳に、太子はエリアドールのヴィンヤロンデ(ロンド・ダイル)に降り立ち、エネズワイスはグワスロー河口に至った。彼らは、古に設けられた港には、祝賀のための短期間以外にはほとんど停泊せず、その週の内には、侵攻拠点の制圧のため出発した。彼の持っていた、肥沃な土地に王国を開く計画は、サウロンの軍勢とエルフとの間に開かれた戦乱(第二紀1693〜1700年)による荒廃で頓挫し、ムーラゾールと彼に従う者達は南方に舵を取った。第二紀1882年、黒太子の艦隊はウンバールに錨を下ろし、その地でヌーメノールの君主は自身の“王権”を宣言した。若干の入植者を引き入れる事に成功したものの、それは数ヶ月の間しか続かなかった。王権を求むるヌーメノール人冒険者は、彼の父親タル=キアヤタンによる避け難く圧倒的な挑戦、すなわち手に負えない息子に対する帰国命令に直面した。ムーラゾールはアダン王による召還命令を拒否し、アルメネロスの勅令に反抗すべく、ウンバールに立て篭もった。
指輪王は太子の反抗を知り、そして彼に目的を成し遂げる手段を提供した。サウロンはムーラゾールと彼の兄、アタナミアの双方が、若さを求め、加齢を非常に恐れていることを看破した。アタナミアは後に、死ぬまで〈ヌーメノールの王笏〉を委譲することを拒否し、死に対する恐怖を露呈した。一方で黒太子は、公然と彼の血縁者(半エルフのエルロスを介して)である、不死のエルフへの不快の意を示し、この恐怖を露呈した。耐えざる警戒と知覚に優れる冥王は、ムーラゾールを堕落させるべく、満たされぬヌーメノール人をモルドールに招き寄せようと努めた。
黒太子は第二紀1883年の第一週にバラド・ドゥーアに赴き、そして指輪王の生徒になった。続く115年間で、彼は非常に強力な妖術師となり、魔法や呪文の投射に関する知識を広めた。ムーラゾールの黒魔術に関する知識は、サウロンに次ぐもので、そして彼は〈悪しき者〉の最も信頼たる副官となるべく頭角を現していった。全ての課程が終了した第二紀1998年には、彼は〈力の指輪〉と引き換えに主人に魂を奉げた。九人の内、最初のナズグールである黒太子は、その後は魔王あるいはモルグル(S.暗黒の呪魔)の王として知られている。
第二紀の残る期間、魔王はモルドールにあって、他のウーライリの企みを調整することでサウロンに仕えた。この年月の間に、彼は卓越した妖術の魅力に完全にとりつかれ、完全に恐るべき幽鬼と化してしまった。彼はナズグールの王としてとてつもない魔術の技を証立てた。皮肉にも、ムーラゾールは〈力の指輪〉を手に入れる以前に自らの国土を統治した事のない唯一の指輪の幽鬼だったが、ヌーメノールはエダインの公子としての彼の血統はアンデッドの同輩を大きく引き離す力を彼に与えていた。
指輪王は黒の総大将にサウロン自身を除く統帥権の全てを与え、ここにモルグルの王はモルドールの位階において最強の闇の下僕となったのだった。半トロールの将軍ゴスモグ(後のモルグルの副官)やサウロンの口でさえ〈悪しき者〉からこのような信頼を享受し得なかった。彼らの関係は第二紀の残る期間を通じて円熟を深め、教師と徒弟は攻略不可能な王国と人間への圧制を確立すべく努めた。
モルドールの主にとって不幸なことは、彼らが長きに渡り求めていた西方国の堕落が帝国主義戦略を生み出したことだ。ヌーメノール諸王の目的は、一部なりとも、冥王のそれを反映していた。双方の勢力は共に、唯一の絶対君主の下に第二子を糾合しようと目論んだのだった。必然的に、サウロンと、魔王にとってはヌーメノールの同族との間におけるこの闘争は、全面戦争に発展していった。
アル=ファラゾーン、ヌーメノール最後にして最強の王は、第二紀3261年に無敵艦隊を率いてエンドールを襲い モルドールの軍勢を打ち砕いて中つ国の覇権を確立すべく来寇した。彼はウンバール港に上陸後、(ヌーメノールとモルドールの下僕たるナズクールのアドゥーナフェルとの間で争われた)近ハラドを縦断して北侵し、第二紀3262年にはハルネン河付近においてモルドール軍と対峙した。アダン王の軍勢は、〈悪しき者〉のそれには抗し難く見えたため、サウロンは降伏し、そしてアル=ファラゾーンの捕虜としてアンドールに向かった。
冥王が捕えられたことにより、魔王は短期間ながらも影の王国の統治を行う機会を得たが、エダインの遍在は指輪の幽鬼とサウロンの軍勢に隠れ潜むことを強いた。これはナズグールの王に、主不在の間はいかなる軍事行動も行えないことを意味した。黒の総大将とウーライリは中つ国各地においてヌーメノールと覇を競ったが、魔王は第二紀3319年のヌーメノルの没落とサウロンの帰還まで沈黙を保った。
第二紀3320年、モルドールにおいて再び姿を得た指輪王は、エンドールの〈自由の民〉に対する征服戦争を再開し、そして隠れ潜む指輪の幽鬼は再召集された。続く109年間、影の軍勢は再編、拡張され、そしてナズグールの首領の指揮の下、戦時体制に移行していった。そして第二紀3429年、魔王は軍勢を率いてイシリアンに侵攻し、建国まもない南方王国ゴンドールを襲撃した(北方のアルノールと同様の亡命王国のひとつ)。ゴンドールのアナーリオン王(彼の兄イシルドゥアの共同統治者)はアンドゥイン河の西岸を守りきり、アルノールのドゥーナダンによる援軍の到着まで黒の総大将の計画を頓挫させ、南方王国を維持した。
五年間の膠着の後、幽鬼の王はギル=ガラドと丈高きエレンディルに率いられた北軍に押され、モランノンへの後退を余儀なくされた。冥王麾下の主軍団の投入により、魔王はダゴルラド、すなわちモルドール門前の戦場ヶ原にて反撃に転じた。そこで人間とエルフによる最後の同盟は、ナズグールの王の兵を鎮圧し、黒の国の防衛線を突破した。覇者の軍勢はサウロンの軍勢の残党をバラド・ドゥーアに追いつめ、そして彼らは七年間に渡り暗黒の塔を包囲した。アナーリオンは第二紀3440年に、胸壁から放たれた投石により戦死した。しかし彼の死は翌年に贖われた。最後の同盟は最終的に、第二紀3441年に指輪王を下し、そして戦争と第二紀は共に終焉を迎えた。サウロンはギル=ガラドとエレンディルの双方を殺したが、〈悪しき者〉は自らも倒れ伏したところをゴンドール王イシルドゥアにそのねじくれた手から〈一つの指輪〉を切り落とされた。そして、冥王と彼の下僕たる九人のウーライリは影の下に入った。
亡命王国は第三紀初期において大きく繁栄した。なぜならサウロンがアルダにおいて胎動を始めたのは第三紀1000年だからである。ゴンドールは巨大な国土を勝ち得、またアルノールはエリアドールのほとんどをその領土としていた。ハラドとの絶えざる戦争や、第三紀861年の北方王国分割にもかかわらず、ドゥーネダインの勢威は頂点に達した。
ゴンドールが頂点を極めた第三紀1050年、ナズグールは影の下より帰還し、そして中つ国における自らの基盤の再建を始めた。彼らの王、魔王は、ロヴァニオンのドル・グルドゥアに赴き、そこで死人占い師を詐称するサウロンと共に潜んだ。黒の総大将は来る二世紀半の間、冥王と共に留まった。この安全な退避場所から、彼は二つのドゥーナダン王国の弱い側を破壊すべく企みを開始した。魔王は、第二紀終焉時の〈一つの指輪〉損失が闇の勢力を著しく弱体化させたことを理解していたので、その準備には慎重さこそが肝要であった。
第三紀1300年、アルノールを崩壊さすべく完璧な計画を練り上げ、指輪の幽鬼の王は霧ふり山脈(ヒサイグリア)北西部に位置する二つの尾根の間に横たわる高原に飛んだ。この冷涼かつ高所の平野は、黒の総大将が破壊を企図した国の北東の国境に沿う荒野を見下ろす位置にあった。彼はその地に自身の王国を建国した:すなわち魔王の国たるアングマール(Q.鉄の館)である。
ナズグールの王はヒサイグリア最北の峰を穿ち、巨大な洞窟要塞を築くと、そこを新国家の首都とし、すなわちカルン・ドゥーム山岳城砦から令を発した。彼は命令の出所を明らかにしないように注意を払いながら、二つの軍団を召集した:一つはオログの将軍ログログに率いられた30以上の部族からなるオーク軍であり、もう一つはエリアドールやロヴァニオン、リューンに住む冥王の臣民である千人以上の人間からなる軍勢だった。これらの戦士はエテン高地とオイオラド(S.冷涼たる平原)北方の稜線沿いの拠点に配置された。モルカイとグラム山の拠点は北方王国全ての脅威となったが、彼らはまず住民がまばらで北東の境界に近い粗野なる国ルダウア(S.東森)を集中攻撃した。
第三紀861年、アルノールは分裂し、表向きは同盟している三つの国家となった:北西のアルセダイン、南のカルドラン、北東のルダウアである。アルセダインとルダウアは共にアングマールが近かったが、北国のうち後者は前者に比べはるかに弱体であった。アルセダインはドゥーナダンの民も多く、アルノールの首都や王国の主要な城砦の大部分を有していた。一方ルダウアはドゥーネダインもほとんど住まわず、小規模な集落が丘陵地に点在するのみであった。自然、魔王の飢えた軍勢の狙いは定められ、アングマール勃興後50年を経ずして、黒き妖術師の軍勢は東森を蹂躙し、生存者はいずれも影の下に入った。ルダウアは第三紀の14世紀半ばには、〈自由の民〉の独立国として存在することをやめた。
モルグル王の次なる目標はカルドラン(S.赤い丘陵の国)の征服だった。ルダウアより強力であったものの、この地はアルセダインほど強力な軍はなく、自然の要害が欠けていた。その首都にして主要都市であるサルバッドは、グワスロー河に沿う低地にあり、ルダウアと同様に国境の多くがわずかに防御されただけだった。カルドランの戦略的要所であるサルバッドは、アルノールとゴンドール両国を繋ぐ街道上に位置し、これを押さえる事はアルセダインの孤立を意味することから攻撃を招く原因となった。重要であると同時に、魔王は南方を押さえることでアルセダインの包囲を完成させることが出来た。
これらの要素から次に攻撃されたのはカルドランだった。第三紀1350年までに、ルダウアは赤い丘陵の国に宣戦布告し、ミスエイセルとアモン・スール(風見が丘)周辺は以後59年間に渡り戦乱が荒れ狂った。アルセダインの援軍を得たことにより、カルドランのドゥーナダン公子は古よりの同盟国を打ち負かした。しかしながら、アングマールの王にはいまだ動かざる自らの軍勢が残されていた。ルダウア国内に兵站線を構築した後、魔王はその軍勢を戦線に送り込み、そしてカルドラン北東部防衛線を直撃した。アングマール勢は無人の荒野を押し渡り、風見が丘南部のドゥーナダン防御線を崩壊させた。北方の三パランティーリの一つを納めたアルノールの要塞をアングマール勢は包囲したが、公子と家臣団は包囲線を破り、塚山(ティルン・ゴルサド)を抜け古森に脱出した。サルバッド陥落時にカルドラン最後の統治者は死んだ。
アルセダイン軍の主力はかろうじて風見が丘の戦闘から撤退した。見る石と共に周囲の丘陵地帯に撤退後、アモン・スールのそれはフォルンオストのそれと共に保管された。わずかに残った防衛軍 ‐ 同朋の撤退を最後まで援護し続けた勇猛なる戦士たち ‐ を全滅させた後、アングマール勢は要塞を破壊した。こうしてナズグールの王は勝利を収めた。カルドランは彼の領土となった。
アルセダインはその姉妹都市の崩壊後、566年間持ち堪えることが出来た。圧倒的物量に直面しつつも、最後のドゥーネダイン継承国は東と北の国境を強化し、忍耐強く敵の攻撃を撃退し続けた。不安に駆られたアルセダインの民の多くは国境地帯に向かい、あらゆる侵攻に対処すべくフォルンオストや国境地帯の要塞や荘園に居を定めた(この移動は第三紀1600〜40年に起きたホビット族によるアルセダインへのホビット庄開拓を招いた)。
自然すらここに介入してきた。アングマール勢が再編成のためカルドランに留まった第三紀1636年末、悪疫が襲い掛かったのだ。1636〜37年にかけての冬に襲った疫病はカルドランに残る民を減少させたが、それは同じく魔王の南方軍も減衰させた。ルダウアとアングマールに駐留するアングマール勢も同様で ‐ それはドゥーネダインよりも被害は大きかった ‐ ナズグールの王が強制したにもかかわらず、瓦解した軍勢を再建するまでに三世紀もの期間が必要だった。
魔王は大柄な人間の男で、身長6フィート10インチ、体重260ポンドだった。彼は深い灰色の瞳と 黒い髪、明るい肌の色をしており、エダインの高貴な血を色濃く受け継いでいた。〈ナズグールの王〉となった後は、影の世界に存在しているため、彼の容貌は明確に捉えることはできなくなった。そして燃えるような赤い瞳だけを残し、その姿は現世のものには不可視な存在と成り果ててしまった。いま眼に映るその姿は、身に付けている衣類や甲冑のみとなった。
形態 | 〈呼称〉 | シンダリン名 | 説明 |
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フレイル | 〈髑髏フレイル Skull-flail〉 | +25の三頭式フレイル。痛打を与えた場合、それは2段階高いものとして解決する。ゴスモグはこのフレイルを片手で用いる。 | |
戦斧 | 〈月の斧 Moon-axe〉 | +20戦斧で〈帰還〉の魔法がかけられている、人間退治の武器。ゴスモグはこの斧を片手で投げられ、200フィートまで到達する(射程によるペナルティー無しで)。 | |
首当て | +6精気/念力界呪文付加器。+15DB。全ての抵抗ロールに+15。 |
呪文 | 80魔力を持つ。精気/念力界用の+6呪文付加器を所持する。ゴスモグは〈精気の耳目〉、〈精気の探り〉、〈開門の技〉(MERP、精気界公開リスト)、〈五感使い〉、〈精神使い〉、〈念動〉(RM、念力界秘伝リスト)を5レベルまで修得している。 |
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姿形の力 | ゴスモグ大型生物として扱い、痛打に関してもそれに準ずる。 |
恐怖 | 彼の巨躯と恐ろしい顔から、ゴスモグは周囲50フィート以内にいる彼を見た者全てに10レベルの恐怖を与える。抵抗ロールに失敗した値が01〜50なら、犠牲者は1〜10ラウンド間に渡り恐怖のため逃走する。抵抗ロールに失敗した値が51〜75なら、犠牲者は1〜10分間逃走する。失敗値が76以上なら、恐怖のあまりしびれてしまう(失敗が151以上なら即死する)。 |