名前 | レベル | 耐久力 | よろい | 防御 | 楯 | こて/すね当て | 近接攻撃 | 射出攻撃 | 移動 | 注意 |
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魔王 | 60 | 360 | 板/20 | 120 | 無 | 無/無 | 180剣 | 90合 | 30 | 黒きヌーメノール人 魔術師/妖術師、ナズグールの王 |
ハムール | 40 | 240 | 板/20 | 90 | 無 | 無/無 | 210剣 | 180ゲ | 10 | ウォマウ(アヴァラダン) 野伏、第二位 |
50 | 240 | 板/20 | 90 | 無 | 無/無 | 210剣 | 180ゲ | 10 | 第三紀2460年以降 | |
ドワル | 39 | 195 | 板/19 | 75 | 無 | 無/無 | 140だ | 100ゲ | 15 | ウォーリム 魔術師、第三位 |
インドゥア | 37 | 165 | 鎖/13 | 120 | 有15 | 無/無 | 140三 | 95合 | 20 | キラン 魔術師、第四位 |
アホーラヒル | 36 | 155 | 鎖/15 | 85 | 無 | 無/無 | 125つ | 75短 | 5 | 黒きヌーメノール人 魔術師/妖術師、第五位 |
ホアルムーラス | 33 | 185 | 軟/11 | 95 | 無 | 無/無 | 150つる | 80槍 | 5 | ウルド まじない師、第六位 |
アドゥーナフェル | 32 | 160 | 板/19 | 75 | 無 | 無/無 | 160剣 | 125合 | 15 | 黒きヌーメノール人 吟遊詩人、第七位 |
レン | 32 | 160 | 硬/12 | 95 | 無 | 無/無 | 125大 | 85合 | 25 | チェイ 魔術師/幻術師、第八位 |
ウーバサ | 31 | 180 | 軟/4 | 100 | 無 | 無/無 | 180ラ | 240短 | 25 | ヴァリアグ 戦士/戦士、伝令にして第九位 |
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異名:ウーライリ The Ulairi、指輪の幽鬼 the Ringwraiths、影 the Shadows、黒の翼 the Black Wings、黒の乗手 Black Riders、恐るべき乗手 the Fell Riders、九人の乗手 the Nine Riders、九人の悪の下僕 the Nine Evil Servants、指輪王の九人の下僕 the Nine Servants of the Lord of the Rings、九人組 the Nine、ギャーギャー声 the Shriekers “…九つは、死すべき運命の人の子に Nine for Mortal Men doomed to die…” (指輪物語より) 人の子は〈力の指輪〉を第二紀2000年頃に受け取り、死すべき運命を免れて指輪王の不滅の下僕となった。王達は定命の存在だったが、まもなく強力な、しかし醜悪な奴隷と化してしまった。各々はおぞましい〈指輪の幽鬼〉になり果て、巨悪の下僕として引き伸ばされた寿命を生き、永久に生と死の狭間に存在し続ける影の生物と化したのだった。
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〈指輪の幽鬼〉の概観 An overview of the Ringwraiths
ナズグール(暗黒語.“指輪の幽鬼 Ringwraiths”) ‐ またエルフが呼ぶところのウーライリ(S.“無明の者達 Those of the Unlight”) ‐ は、冥王に恐怖と征服を遂行するために仕えている最強の道具だ。第二子の諸王は、支配力を高めるために効果的な、洞察と恐怖をサウロン(異名はゴルサウア Gorthaur、あるいはサウロン Thauron)から提供され、それはエンドールにおける人間諸種族の繁栄とエルフの衰退とをもたらした。〈指輪の幽鬼〉は絶対の忠誠を奉げ、事実上いかなる出来事でも成し遂げることが出来る長命を満喫した。魔法の生命として、彼らはほとんど全ての敵を争い破る力を有している。彼ら独特の能力は、人間の王の目的を適えるために用いられていたが、〈悪しき者〉の目的を推進し、永続するように捻じ曲げられていった。
ウーライリの力は途方もなく、その破滅の寸前まで、恐るべきゴルサウアのために自身の力を振るうことを望んだ。無慈悲なる王達は、どのように同族を支配し、人間の王国を統治するか知りつくしていた。彼らの経験は、冥王による中つ国の探索と征服に、大いに寄与する事がわかったのだった。総体として、この知識の倉庫は巨大であり、それは彼ら全てが異なる文化 ‐ ヌーメノールの三人(アドゥーナフェル、アホーラヒル、ムーラゾール)を含む ‐ と独特の背景から出現したことを反映している。全体として見れば、九人はエンドールの民族の大部分を網羅し、全土の半分にも及ぶことになった。サウロンは慎重に彼らを選び、巨大な報酬を授けたのだった。
ウーライアの歴史 Ulair history
ウーライリの奴隷化は、彼らの才能を大きく飛躍させた。個々の九つの〈力の指輪〉は、サウロン(つまりアンナタール)とエレギオンはオスト=イン=エジルのエルフ鍛冶師により、第二紀1500〜1580年の間に鍛え上げられた。高位鍛冶師ケレブリンボールと素晴らしい才能を持つ同輩により、絶えることの無い力を埋め込まれた〈指輪〉は、第二紀1697年に始まったエルフとの戦争の間に冥王により保護され、維持された。しかしながら、それらには消し去ることの出来ない悪の痕跡がサウロンにより刻まれるたのだった。それらには途方もなく大きな魔力が包含されていたが、冥王がオロドルイン(滅びの山)で第二紀1580〜1600年に渡り、密かに鍛えた〈一つの支配の指輪〉に永遠に結び付けられていたのだった。
九つは、第二紀2000年前後に、指輪王と非道な契約を結んだ者達が、ゴルサウアその人から下賜された。魔術的宝石に直結された呪文力と、サウロンと彼の〈一つの指輪〉から供給される不滅性を引き換えに、貪欲なる者達は冥王の奴隷となっていったのだった。指輪をはめ始めた時から、彼らは現実世界と影の世界との狭間に存在するナズグールと化して行った。死を拒絶し、そして死に拒絶された〈指輪の幽鬼〉の生命は、魔術と密接に絡み合っている。
この不滅性は、数多くの重荷を伴った。九人組にとって不幸だったのは、彼らに与えられた精神と自由な意志は〈悪しき者〉に結び付けられ、そして彼らの運命や存在そのものが〈支配の指輪〉の宿命と絡み合わされてしまった事だろう。彼らの富と支配への渇望は、彼ら自身を奴隷へと導いていった。もっと悪い事は、〈指輪の幽鬼〉がアンデッド状態、全存在がアルダに有られない状態、に成り果てたことだろう。サウロンのみがこの世界における彼らの存在の焦点である、〈常死の生命〉に変質した後は、本来の生命が持つ楽しみの全てが奪い去られてしまったのだった。彼らの堕落は、九人組自身に果てしない苦痛と絶え間ない痛みを与えたのだった。
第二紀におけるウーライリの活動 The Campaigns of the Ulairi during the Second age
ウーライリの最初の目撃記録は第二紀2251年にある。これは個々のマスターが、〈指輪の幽鬼〉をキャンペーンに導入する指針となるだろう。これらの計画の第一段階(第二紀2251〜3261年)は、自国および周辺諸国を制圧し、サウロンに分割されてはいるものの広範囲に及ぶ帝国を与えることから始まった。彼らは中つ国全土の征服を望んだが、冥王の狙いはヌーメノールのドゥーネダインとの間に対立状態を生み出した。全ての人間に君臨するという覇業はアル=ファラゾーンの覇権と衝突した。彼の偉大なる軍勢の挑戦は、第二紀3262年の指輪王の服従に結実し、ここに〈指輪の幽鬼〉による影の第一次侵攻は終了した。ウーライリは撤退し、冥王がヌーメノール島(西方)に投獄されている間、隠れ処に引き込もったのだった。
もちろん、〈悪しき者〉は彼を捕えた者達を篭絡し、彼が九人組に対して行ったのと同様に、彼らの持つ貪欲さを利用した。3319年の崩落でヌーメノールは滅び、ナズグールは分断されたサウロンの領土を再建するため、モルドールに再び姿を現した。ゴルサウアが西方に伴った仮身の破壊から回復した後、彼らは戦争状態に突入した。第二紀3429〜3441年、〈指輪の幽鬼〉はエルフと人間の〈最後の同盟〉に対し、モルドールの軍勢を率いて戦った。サウロンの敗北は、〈一つの指輪〉の捕獲と第二紀の終焉をもたらした。〈悪しき者〉の精神は、彼自身の精気から生じさせた〈支配の指輪〉に一部を残留させ、残りはアルダを離れ影の内に入っていった。ウーライリも無論それに続いた。なぜなら、彼らのエンドールにおける焦点も消滅してしまったからだ。
第三紀における九人組の活動 The Nine's Campaigns during the Third age
指輪王が中つ国に再び出現するために力を蓄えるまで、千年を費やした。そして九人の下僕が彼の召喚に応えるまで、さらに五十年余りの月日が必要だった。にもかかわらず、第三紀1050年には、〈指輪の幽鬼〉の胎動は始まっていた。これに先駆けて、サウロンは彼の〈一つの指輪〉を別にして(まずはロヴァニオンのドル・グルドゥアにおいて)エンドールに隠れ住んでいた。当然ながら、彼は〈九つの指輪〉を手にしていた。これにより、彼は遠方からナズグールを介して、自身の存在と力の投影を可能にしたのだった。
彼らの帰還を待って、〈指輪の幽鬼〉は今一度人間を強制し、征服に乗り出した。しかし彼らの力は〈支配の指輪〉の喪失により減衰していた。サウロンの命により、彼らは各地に飛び、そして徐々にではあるが、暗黒の王国再興に向けて動き出した。魔王は第三紀1300年にアングマールを創立し、北方王国アルノールとその継承国(アルセダイン、カルドラン、リュダウア)に対し、第三紀1300〜1974年にかけて戦争を挑んだ。これは計画の中で最も明らかなもので、他の者は中つ国の他の地方に赴いた。
九人組の内八人は、第三紀1640年に黒の国に入国し、冥王の帰還準備を始めた。魔王は最後に残った北方のドゥーネダイン王国(アルセダイン)を崩壊させた後、敗北してアングマールを放棄し、翌年に他の者達と合流した(第三紀1975年)。25年後、再集結したナズグールはミナス・イシルを襲撃して南方王国ゴンドールを驚嘆させた。彼らは第三紀2002年に要塞都市を奪取し、九人組の首領はこれを自身の城砦と定めた。
ミナス・イシル(その後ミナス・モルグルと呼ばれた)の陥落に端を発して、続く九世紀の間、〈指輪の幽鬼〉はエンドールの東方および南方のいたる所に出没した。ゴルサウア自身も、第三紀2063〜2460年の〈警戒的平和の時代〉に東方に赴き、征服が完遂する以前にドル・グルドゥアに帰還したとはいえ、彼らの努力を援助した。これにより暗黒は非常に広範に渡って拡がり、ウーライリはドル・グルドゥアに隠れ住む〈悪しき者〉の名の下に国々を束ね、彼が再びモルドールに入国した時には、彼は再び昂然と人間の王を宣言したのだった(第三紀2941年)。
サウロンによる黒の国の反抗は、第三紀の終焉を示唆していた。戦争の再開と共に、モルドールの暗黒の塔(S.バラド・ドゥーア)も再建された。同年(第三紀2951年)、三人のナズグールが北方に飛んでドル・グルドゥアの拠点を再開し、ローリアンと闇の森のエルフ王国を破壊する計画に着手した。67年後(第三紀3018年)、イシリアンとロヴァニオンにおいて双方は衝突し、そして指輪戦争が勃発したのだった。
先手として、冥王は敵対者達を試す目的と、彼が喉から手が出るほど欲している物から心を逸らさせる為に九人組を用いた。3018年の夏、ナズグールは〈一つの指輪〉探索に進発した。黒の乗手として馬上の人となり、ウーライリはアンドゥイン渓谷を調査した後、ローハンを通り、そしてエリアドールに入った。三人はホビット庄(クドゥク語.領地 Suza)に向かい、他の者はブリー村に至る大街道に向かった。ホビット達は奇跡的に、指輪と共に東方に遁れ去ったが、風見ヶ丘において魔王と四人の〈指輪の幽鬼〉は探索を完了しかけた。再び失敗した彼らは、裂け谷のエルフの避難所に逃げ込もうとする小さき人々の追跡を開始した。二週間後、九人組は再びフロドを捕えかけたが、エルロンドの放った魔法の洪水が彼らを捉え、黒い乗馬を抹殺し、九人組を負傷させたのだった。
ナズグールはその痛手から回復に若干の時間を必要とした後、ブルイネンの渡しの敗北を教訓に、彼らは恐るべき獣に乗り、空を駆けた。捜索は断続的に続けられたが、第三紀3018後半から3019前半にかけての時を無為に費やした後、彼らは戦争遂行の任に向かった。魔王はミナス・ティリス攻略のため、二分した巨大な南方軍団を指揮し、一方ドル・グルドゥアの〈指輪の幽鬼〉達は冥王が放った二つの北方オーク軍団を指揮した。彼らの攻撃は、いずれも計画どおりには運ばず、そして魔王はゴンドールのペレンノール野においてエオウィンとメリーの剣を受け滅びた。
残る八人のナズグールは、バラド・ドゥーアに後退し、そして戦争の最終局面に備えた。自由な民の軍勢は、サウロンの主力軍と、黒の国のモランノン門前において、詩に詠われる会戦に臨み、恐るべき乗手達は飛翔生物に騎乗し、乾いた戦場の上空で大鷲との決闘に臨んだ。空中戦の軍配はいずれにも上がらなかった。モルドールの宿命が結びつけられた〈一つの指輪〉を、ホビット達が持ち、滅びの山を登っていることが判明したため、冥王がナズグールを急遽召し出して南方に向わせたからだった。今度もまた、〈指輪の幽鬼〉は目的を達成できなかった。なぜなら〈支配の指輪〉は破壊され、ウーライリは彼らの主と共に滅び去ったからだ。
ウーライアの性質 Ulair Nature
“…かれらの蒼白い顔には鋭い無慈悲な目がもえていました。黒いマントの下には灰色の長衣をまとっていました。灰色の頭には銀のかぶとがかぶせられていました。やせさらばえた手には鋼の剣が握られていました…”
指輪物語 旅の仲間 上巻 376ページ(旧版)
ナズグールは冥王の忌まわしい影を蔓延させる手段だった。にもかかわらず、彼ら自身の存在は準肉体的なままでいた。ほとんど重さがなく、目に見えず、(他のアンデッドやサウロンのように)影の世界にのみ存在し、また〈力の指輪〉を身に着ける事により、微かにアルダに在る事が出来るのだった。〈指輪の幽鬼〉は同時に二つの世界に存在したが、しかしいずれの世界にも完全に留まっているわけではなかった。彼らは物品を操る事も、目に見える装いで自身を隠すことも出来たが、可能な限り他の人間とは隔絶した環境で過ごした。
ナズグールの恐るべき二元的存在は、指輪王が巻き起こす恐怖の証左だ。彼らは数多の諸王中でも最強の存在だったが、ウーライリとなった後はサウロンの下僕と化し、その精神は彼の存在に永久に結び付けられてしまったのだった。彼らは不死を得たが、エルの与えた〈死の贈り物〉を失ったため、永遠に死の縁に立たされる事になった。彼らの声は恐怖を生み出し、最も強壮な敵の心の内にも怯えを植え付けたが、その甲高い声に潜むものは彼ら自身の痛みの叫びだった。まったき暗闇であっても知覚するための能力を有してはいるが、彼らは事実上盲目だった。巨大な獣も軍隊も彼らの言葉に従うが、彼らは何一つ信頼することは出来ず、友もいなかった。彼らは鋭い刃に切り掛かられても恐れを見せなかったが、小川を避け、太陽から遁れようとした。いかなる挑戦も彼らの心を怯ます事はなかったが、揺らめく炎とエルベレスの御名は彼らを敗走させた。大自然の恩恵は、彼らを拒絶した。
しかしながら、最も皮肉な点は、彼らが本来の宿命を騙し、永遠の生命を得たはずなのに、実際には魂の活力を失った後も死ねないという事だろう。冥王の申し出を受けることにより、ナズグールはエルが第二子に授けた祝福を知らぬうちに拒絶し、アルダが終焉を迎えるその日まで怪異な〈生命〉にすがり続けなくてはならなくなったのだった。彼らは自身の不滅の精神を、不滅の肉体と交換してしまったのだ。
不滅の存在であるヴァラールとマイアールを除けば、ナズグールはアルダでも最強の力を有していると云える。彼らの力はマイア・サウロン、個々の〈力の指輪〉、そして〈一つの支配の指輪〉との絆を反映しているのだった。 それぞれのウーライアは個々の存在だが、それでももちろん、彼らはすべてに共通する要素を有している。彼らは全員不滅の存在にして魔術属性を持つ準物質的生命体で、個体、集団のいずれでも高い能力を持ち合わせる生物なのだ。魔王にまつわる物語に示されるように、彼らは中つ国の様々な自由の民に恐れられているが、その代わり、個人的性質や事情が彼らの弱点を定めている。いかなる人間であっても彼らに並び立つことは出来ず、ヌーメノールとその亡命王国のアダン貴族のみが特定の状況下で彼らと争うことができたほどだ。それでも、彼らは火や水、いくつかのヴァルダの発現(例えば“エルベレス”の御名)により狼狽させられ、追い払われ、魔法の武器は彼らを殺すことができるのだった。 以下はナズグールの一般的能力や共通の性質についての指針だ。我々は、GMが〈指輪の幽鬼〉をファンタジー・ロールプレイングゲームに導入する場合、以下の示唆を用いることを提案する。
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第二紀が終幕を迎えて以来、ナズグールは長きに渡り〈力の指輪〉を手にしていなかった。それらはサウロンが〈支配の指輪〉を手にする日まで管理していた。これらの指輪は魔法で鍛えられた、事実上重さのない黄金イシルナウアで形作られ、クウェニャ語の文字が刻印されている。それぞれの指輪には、それに相応しい宝石が一つだけ飾られ、独特のオーラを放って輝いているが、全ての指輪は、他の指輪所持者や、指輪王その人以外からは隠されている。これらは本来、良き行いを成すために作られたが、サウロンの〈一つの指輪〉の支配下に置かれ、その目的に沿うように歪められた。個々の指輪は以下の能力を有している。
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